第75代横綱・大の里の強さを見て、「どんな筋トレをしているの?」「ベンチプレスは何kg上がる?」「足腰の筋肉や柔軟性がすごいのでは?」と感じたことはないでしょうか。
大の里は学生時代にウェイトトレーニングに熱中した経験があります。しかし、角界入り後は土俵上の稽古と基本動作を何より重視するようになったと本人が話しています。2025年の『Tarzan』の取材では、特に足首の柔軟性への自信と、股関節・肩甲骨の動かし方について具体的に説明しました。
この記事では、取材で確認できる本人の言葉、相撲協会の基本動作、実際の稽古報道を分けて整理します。「筋肉が大きいから強い」で終わらせず、四股・すり足・鉄砲が立ち合いとどう関わるのかを、相撲観戦の見どころから読み解きます。
大の里の筋肉はどこがすごい?体格より「使い方」に注目
日本相撲協会の公式プロフィールで確認できる身長・体重は190.0cm・188.0kg(2026年11月場所向けに掲載された数値)です。2025年5月の横綱昇進特設ページには192cm・191kgとあり、測定時期によって違います。筋肉量や体脂肪率は、この数字だけではわかりません。
相撲を見るうえで重要なのは、単に上半身の大きさではなく、腰を落としても前へ踏み出せるか、相手の圧力を受けながら足を運べるか、右差しと左おっつけを連動させられるかです。どれほど体が大きくても、立ち合いで腰が伸びれば、相手に下から入られやすくなります。
| 注目する部位・動き | 観戦で見るポイント | 資料で確認できる内容 |
|---|---|---|
| 足首 | 腰を落としたとき、足を運んでも重心が上がりすぎないか | 本人が柔らかさに自信を示した |
| 股関節・下半身 | 仕切りから踏み込み、前へ押す間の腰の高さ | 下半身の柔軟性と基本稽古を重視 |
| 肩・肩甲骨 | 突き・押しと差し手の切り替え | 可動域を保つことに言及 |
| 胸・腕の筋力 | 腕力だけでなく脇を締め、相手を押せる姿勢 | 胸筋を過度に大きくすることだけを目標にしていない |
大の里はベンチプレス200kgを上げる?本人の発言を正しく読む
2025年7月21日公開の『Tarzan』本人取材は、この疑問を考えるうえで重要です。大の里は学生時代にウェイトトレーニングに熱中していた一方、部屋入りをきっかけに、その取り組み方を変えたと説明しています。
記事には「ベンチプレス200kg」という数字も登場します。しかしこれは、本人が実際に200kgを持ち上げたと証明する記録ではありません。筋トレで高重量を扱えたとしても、それだけで相撲の強さが決まるわけではない、という趣旨で本人が挙げた例です。
「大の里のベンチプレス最高記録は200kg」と断定することはできません。その数値を測定した日時、正式記録、動画などの根拠が示されていないためです。同様に、スクワットの回数や握力、体脂肪率、筋肉量の具体的な数値も、出典がなければ推定しません。
興味深いのは、筋トレを否定しているわけではないことです。本人は「力士も筋トレはする」という前提で、より大切なものとして土俵での稽古を挙げています。力を大きくすることと、相撲の動きの中で力を正しく使うことは違う、という考え方です。
本人のインタビューが載った『Tarzan』904号を探す
大の里が2025年に柔軟性や稽古への考え方を語った『Tarzan』904号(2025年6月5日発売)。記事で触れた足首の柔らかさやトレーニングの話を、掲載誌で詳しく読みたい方向けの案内です。
新品・中古・電子版の販売状況や取扱号数は各店舗で異なります。正確な掲載号は『Tarzan』904号です。
本人が自信を持つ「足首の柔軟性」は何が違う?
足首が柔らかいと、低い姿勢と足運びを両立しやすい
『Tarzan』の取材で、大の里は自身の体について「硬い方」と認識しており、股割りは得意ではない一方、足首の柔らかさには自信があると話しました。自分の体のすべてが柔らかいと誇張しているわけではないところが重要です。
相撲の立ち合いは、低い姿勢から相手へ向かって踏み出す動きです。足首の動く範囲が狭いと、低い姿勢を保つための足運びが難しくなることがあります。逆に足首が動けば、腰を落としたまま前へ出るための選択肢が増えます。ただし、柔軟性だけで勝てるわけではなく、股関節・膝・足裏の使い方や相手の動きも関わります。
子ども時代と和式トイレのエピソード
同じ取材では、大の里が小学生のころ、学校や相撲教室で和式トイレをよく使っていたという話も出ています。本人はその生活習慣が足首の柔らかさに関係しているのかもしれないという見方を示しました。
これは本人の実感を語ったエピソードであって、和式トイレが足首の柔軟性を作ったと医学的に立証された話ではありません。こうした話をきっかけに、力士は日常生活でも股関節や足首を多様な角度で使ってきたのだと考えると、競技と体づくりの関係が見えてきます。
ストレッチは特別な儀式より「いつもの習慣」
『Tarzan』が2025年5月場所直前に訪れた朝稽古では、大の里が肩甲骨周辺を動かし、腰・股関節・足首を伸ばしながら体を確かめる様子が描写されています。本人はストレッチが習慣になっていると説明し、本場所中は疲労の残りやすい下半身や背中にも気を配ると話しています。
大切なのは、ストレッチの姿勢を何分保つかといった未公表の数字ではなく、その日の体の状態を確認し、必要な動きを丁寧に繰り返しているという点です。
四股・すり足・鉄砲|大の里が重視する3つの基本稽古
本人の取材と日本相撲協会の相撲基本動作を合わせると、強い力士ほど地味に見える基本稽古を大切にしている理由がわかります。
| 基本稽古 | 何をする? | 実戦との関係 |
|---|---|---|
| 四股(しこ) | 片脚を上げて踏み下ろす。腰と上体の安定も意識する | 軸足で体を支える下半身の動き |
| すり足 | 腰を落とし、足裏を土俵につけるようにして進む | 前へ出る間も重心を保ち、足を止めない |
| 鉄砲(てっぽう) | 柱などへ左右の手を交互に突き出し、足腰と連動させる | 突き・押しと体幹、足運びの連携 |
四股|脚を高く上げるだけではない
四股は、大きく脚を上げる派手な動きに見えますが、重要なのは軸足で上体を安定させ、踏み下ろすまで姿勢を崩さないこと。日本相撲協会も、四股を「力足」と呼ばれる基本稽古として説明しています。協会の四股解説では、踏み下ろすときに腰が後ろへ引けない姿勢が示されています。
大の里の取組を見る際も、単に両脚の筋肉の大きさを見るのではなく、立ち合い直後に足が止まらず、相手の圧力に耐えながら姿勢を保てているかが観察点になります。
すり足|強い当たりのあと、腰を浮かせない
横綱が立ち合いで強くぶつかっても、その後の足運びが止まれば、相手に回り込まれたり、体を入れ替えられたりします。すり足は、足を大きく上げて歩くのではなく、低い姿勢から足を運ぶ基本動作。大の里が重視する「下から上へ」という圧力を取組の途中でも保てるかに関わります。
鉄砲|腕だけでなく足腰も使う
鉄砲柱への稽古は、見た目には手で柱を押しているだけに見えます。しかし、実際の相撲で突き・押しを生かすには、手の力と下半身の踏み込みをつなぐ必要があります。『Tarzan』の稽古取材でも、大の里が柱に向かって突き上げる動きを繰り返す様子が報告されています。
2025年の稽古では、右上手や左おっつけの使い方も磨いた
体づくりを考えるときは、筋トレだけでなく相手を置いた実戦形式の稽古が欠かせません。2025年5月場所前、大の里は師匠・二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)と10番の三番稽古を行い、8勝2敗でした。
師匠は左四つ、大の里は右四つが得意。思いどおりに右を差せない展開でも、右上手を使った攻めに手応えを得たと話しています。この稽古は単に筋力を鍛えるのではなく、自分の得意な形が封じられたときにどの技術へ切り替えるかを試す場でした。詳しい記録は2025年5月7日のデイリースポーツにあります。
同年9月場所前の連合稽古では、大関琴櫻を相手に15番取って12勝3敗。大の里は、相手より下に入ることや左の使い方を意識したと説明しています。前日の稽古総見では十分な内容を示せず、翌日に修正したという経過も、単なる腕力以上の調整力が求められることを物語ります。連合稽古の取材記録。
公式取組動画で見る|筋力だけでは分からない大の里の動き
体の使い方を確かめるには、稽古の写真と実際の取組を見比べるのが面白いところです。日本相撲協会公式の2026年9月場所初日、大の里対大栄翔の映像を紹介します。これは筋肉の測定動画ではなく、土俵上の姿勢・足運びを見るための取組映像です。
映像を見るときは、①仕切りからの腰の高さ、②立ち合い直後の最初の一歩、③相手に当たったあとに足を運べるか、④上体だけで押していないか、という順番で追ってみてください。筋肉の輪郭を見るより、どの場面で全身の力を伝えられているかという観点で取組を楽しめます。
大の里の右差し・左おっつけ・寄り切りと押し出しの違いは大の里はなぜ強い?得意技・取り口の解説で詳しく整理しています。本記事はあくまで、その技術を支える稽古と体の使い方に焦点を絞っています。
大の里の筋肉とトレーニングに関するよくある疑問
大の里のベンチプレス最高重量は?
本人が200kgを上げたという公的な測定記録は確認できません。『Tarzan』の「200kg」という数字は、ウェイトの重量だけでは相撲の勝敗は決まらないと説明するための例です。最高記録として紹介するのは不正確です。
大の里は筋トレをまったくしないの?
いいえ。本人は力士も筋トレをすると話したうえで、土俵稽古の重要性を強調しています。学生時代のウェイト中心の取り組み方とは変わったという話であり、一切の筋力トレーニングをしていないという意味ではありません。
体重が重いほど相撲は強い?
体格は有利に働く場合がありますが、体重だけで勝敗は決まりません。立ち合いの角度、足運び、相手より低い位置からの圧力、差し手の切り替えが組み合わさって初めて強みになります。
大の里の稽古は毎日何回?
四股やすり足、鉄砲の固定回数を毎日何回行っているのか、すべての期間に共通する数字は確認できません。場所前の稽古量は体調や調整方針で変わります。特定日の報道にある番数を、日常の固定メニューと混同しないことが大切です。
左肩を負傷した後も同じ稽古を続けている?
2025年の取材と、2026年のけが以後の稽古内容を同一視することはできません。休場と復帰の経過では各時期の診断内容と調整状況を分けて扱っています。
まとめ|大の里の体づくりは「大きさ」だけでなく「動けること」
大の里の筋肉やパワーに注目するとき、本人が特に強調しているのは足首の柔らかさ、股関節や肩甲骨の可動域、四股・すり足・鉄砲の反復です。学生時代はウェイトトレーニングに熱心でしたが、入門後は土俵での稽古を最も大切なものとして捉えるようになったと語っています。
ベンチプレスの数字を競うのではなく、なぜ相手より低く入れるのか、どうやって相手の体を起こすのか、押している間に足を運べるのか。こうした視点で大の里の相撲を見ると、筋肉だけでは説明できない強さが見えてきます。
参考資料・出典
筋力・稽古方法の説明は、本人取材と日本相撲協会の基本動作の資料を参照しています。稽古内容は取材当時の記録です。










